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コナー・フィッツジェラルド
- 債券ポートフォリオ・マネジャー
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短編動画シリーズの第一弾では、債券ポートフォリオ・マネージャーのコナー・フィッツジェラルドがクレジットの最新動向についてご説明します。クレジットスプレッドのバリュエーションが非常にタイトであることを踏まえ、今後12カ月の見通しと、現在の投資機会とリスクについて聞きました。
現在のクレジット市場にはいくつか注目すべき点があります。まず、クレジットスプレッドのバリュエーションが全体的にかなりタイトであると見受けられることです。市場には引き続き投資機会が存在し、特に一部のセクターや個別企業で投資機会を見出しています。
しかし、全体としてはクレジットリスクを低く保つ姿勢が賢明だと考えます。1、2年前に懸念されていた、例えば労働市場の軟化、石油需要の低下、一部の大手クレジットカード会社でのクレジットカード債権の貸倒れの兆候などは、今後の景気低迷を示唆しています。こうした状況に対して、クレジットスプレッドのバリュエーションはタイト化が進んでいます。
そのため、現在はクレジットリスクを多く取ることによるリターンが期待できないと考えています。私たちは、現在の見通しの主な方針として、全体的にクレジットリスクが低く、質が高い投資先、つまりハイイールド債よりも投資適格債を選好しています。
私たちが現在、クレジット市場のリスクに関して最も注視しているのは、FRBの引き締めの影響が生じる長期的かつ変動的な遅れです。今回は少し時間がかかりましたが、FRBの引き締めの影響が実際に経済に現れ始めていると見ています。具体的な影響としては、採用の減少、労働市場の緩和、インフレ率の低下が見られます。
また、消費者は高価な商品から安価な商品へと切り替え、原油市場は取引が低調になり、需要の低下が見られています。これは米国だけでなく世界的にも同様の状況になる可能性があります。
したがって、経済の減速がようやく浮き彫りになりつつあり、恐らく今後12カ月は過去24カ月よりも景気後退の可能性が高まると考えることが重要です。私たちは、そのリスクがクレジットスプレッドのバリュエーションに十分に反映されているとは考えていません。そのため、私たちは今後数カ月間、経済の動向を注視していきます。
今後の投資機会については、私は市場のボラティリティに期待しています。現在、市場には多くの逆風があります。地政学的な不安定さや米国の政治的な不透明さがその一因です。米国の赤字や財政支出の道筋は、恐らく今後ボラティリティを生むことになると見ています。
私たちは、データセンター、天然ガス火力発電所、小型モジュール原子力発電所といったインフラへの投資を通じて、米国のボラティリティを上手く活用するポジションを確保しています。これらのインフラは、AIの進歩に伴う電力需要の拡大を支えていきます。こうした状況により、公共事業部門やエネルギー部門に投資機会が生まれ、しばらくの間は米国での構造的な投資の成長を後押しすることになると見ています。
最後に、私たちは失業率の上昇に懸念を抱いています。私はこれは、なぜその状況になったのかを理解する良い機会であると考えます。私は、失業率上昇の大きな要因は、近年の大規模な移民の影響だと考えています。米国内で生まれた人の失業率と比較し、外国生まれの人の失業率の方が上昇率が高いのです。歴史的なデータによれば、米国に移民が流入した場合、彼らが労働力として統合されるには一定の期間を要します。これは一種の労働供給ショックと考えることができるでしょう。
もし私が米国経済の強気シナリオを描くとしたら、失業率が上昇している理由は人々が職を失っているからではなく、単に仕事を探す人が増えているという状況だからだと言うでしょう。これは長期的には経済にとってプラスとなります。
私たちは必ずしもこのシナリオに沿って投資をするわけではありませんが、失業率が上昇しているから悪い、という見解とは少し異なる洞察を持っており、今後もその点を注視していきます。