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ジーン・ハインズ
- 最高経営責任者(CEO)
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当社は2023 年もリサーチ主導の気候変動への取り組みを継続しました。気候リサーチ・チームは関連セクターのアナリストや運用担当者とともに、ウッドウェル気候研究センター(以下、ウッドウェル)および米国マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)「地球規模の変化に対する科学と政策のジョイントプログラム(Joint Program on the Science and Policy of Global Change)」の科学者と連携し、投資収益の向上を目指して、様々なセクター、地域、資産クラスで三者の知見を活用するカスタム・リサーチ・プロジェクトを進めました。
2023 年には年間を通じて、気候レジリエンスと移行戦略について企業や各国政府とエンゲージメントを実施しました。独自の気候分析ツール群を強化したほか、ウエリントン気候リーダーシップ連合(WCLC)を世界の大手アセットオーナー10社に拡大しました(2024年4月時点)。また、気候変動による経済へのシステミックな影響を市場が考慮することを促すための業界活動を支援しました。これまでと同じく、こうした気候関連の取り組みは、より多くの情報に基づいた投資判断を下せるようにすることを目的としています。
当社の気候リサーチは複数の資産クラスにまたがっています。2023 年には、新興国と先進国に関する重要性フレームワークをさらに発展させるとともに、重大な気候リスクについて特定の発行体とエンゲージメントを実施することで、ソブリン発行体の分析を強化しました。加えて、コモディティに関する分析を、取引所とのエンゲージメントや、気候変動が将来の需給動向に及ぼす影響を評価するカスタムメイドのリサーチにより拡大しました。
移行リスクや物理的リスクをテーマとする当社のリサーチやエンゲージメントが進化する中、潜在的に重要な気候リスクや機会に関する発行体の見解についてより詳細な知見を提供することが必要になっています。そうすることにより、運用チームはこうした知見がそれぞれの投資哲学およびプロセスや、お客様のために魅力的な運用成果を追求するという目標に即しているかどうかを判断することができます。そして、その手段としてより緻密な指標やツールを開発することで、より多くの情報に基づく発行体とのエンゲージメントが可能になり、運用の意思決定プロセスを強化することができます。
気候関連のトピックに対する世界のお客様の関心は依然として高く、2023 年にはこうしたトピックについて議論したいというお客様のご要望に応えて数百回もの会議を開催しました。会議では頻繁に最新の調査結果を共有し、このような調査結果は年末にボストンで開催した気候サミットでも発表しました。気候問題が投資に及ぼす影響についてお客様が理解を深めるのに伴い、当社は引き続きお客様と協力し、お客様の内部評価を支援する情報を提供しています。
当社の気候変動ポートフォリオ・レビューはこれまで主に物理的リスクに焦点を当ててきましたが、2023 年にはこれらのレビューを、物理的リスク、生物多様性リスク、移行リスクを同時に評価するカスタマイズド・インテグレーション・プラン(CIP)に発展させました。CIPは、気候関連リスク・エクスポージャーの重要性をより幅広く適切に評価したいと考える運用チームにとって有用なツールとなります。さらに、当社は運用担当者が保有する銘柄と似た業界特性を持ちながら、移行リスクや物理的リスクが異なる投資可能銘柄を特定する発行体ユニバースも作成しました。一部の運用チームは、こうしたユニバースを利用することで、重要な気候変動を運用プロセスにおいていかに考慮しているかをより詳細に示せるようになっています。
当社は、資本市場における財務上重要な気候リスクと機会の透明性向上や評価を支援するために業界の様々な活動に参加しています。具体的には、国際財務報告基準(IFRS)財団が設立した国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の投資アドバイザリー・グループのメンバーとして、発行体の透明性と比較可能性を高め、規制の細分化を回避し、報告負担を軽減するようなサステナビリティ開示のグローバル基準を作成することを目的に、自主的なISSB基準の策定について意見を提供しました。気候リサーチ・チームのディレクターは、株式の気候レジリエンスを分類するためのフレームワークと新たなレジリエンス指数の開発に向けて、グローバルな適応・レジリエンスに関する投資家ワーキンググループ(GARI)と協力しました。また、サステナブル・インベストメント・チームのヘッドは、米国金融安定監視評議会(FSOC)が設置した気候関連金融リスク諮問委員会(CFRAC)のメンバーを引き続き務め、気候科学パートナーや運用担当者との共同調査で得られたリサーチ主導の知見を共有しました。
当社はなお、気候変動が投資パフォーマンスやリスク管理に及ぼし得る財務上重要な影響に関するお客様の理解を助けることに尽力しています。物理的リスクと移行リスクを低減するための戦略について企業とのエンゲージメントを継続する中、2023年12月時点では世界の時価総額の50%以上に相当する7,000社を超える企業が、科学的根拠に基づく目標にコミットするか、科学的根拠に基づく目標を設定しています。
投資成果の向上に向けた当社の取り組みへの変わらぬご支援とご関心に感謝いたします。当社は今後も気候変動問題に取り組んでまいります。
ジーン・ハインズ
ウェンディ・クロムウェル
クリス・グールゲイジアン