運用者が解説

2025年、小型株の新たな幕開け

2025年2月
2029-12-31
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バリュエーションと市場サイクル

現在、大型株が長期間にわたりアウトパフォームを維持しているため、小型株への投資を検討する良い時期かもしれません。小型コア株の運用者によると、歴史的に大型株と小型株のアウトパフォーマンスサイクルは平均11年続きますが、現在は大型株のサイクルが14年続いています。また、株価が上昇している銘柄の集中が進み、バリュエーションが持続不可能な水準に達しているため、大型株のサイクルは最終段階に入っていると指摘しています。各サイクルの最大の上昇は、歴史的にサイクルの開始時と終了直前に起きていることから、小型株への資産配分を検討することが賢明でしょう。

中小型バリュー株の運用者も、大型株が中小型株をアウトパフォームする期間が長引いていることを強調しています。ラッセル2500バリュー指数およびラッセル中型株バリュー指数は、S&P500指数に対して過去最低に近い水準で推移しています。

図表1
小型株と大型株の主導サイクル(1931~2024年)

小型株と大型株の主導サイクル

出所:ウエリントン・マネージメント。2024年12月時点。RSラインは1931年初めを100として指数化されています。1979年から2024年の小型株(ラッセル2000指数)対大型株(ラッセル1000指数)および1931年から1978年のFamaFrenchデータベースからの小型株 – 大型株(SMB)ファクターリターンを示しています。1931年から2024年の見解は、その執筆者が入手可能な情報に基づいて記述したものであり、予告なく変更することがあります。個々のポートフォリオ運用チームは、異なる見解を持ち、顧客ごとに異なる投資意思決定を行うことがあります。当資料は、投資助言、あるいは株式その他証券の売却の提案あるいは購入の勧誘を目的とするものではありません。※上記は過去の実績であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。上記はあくまで例示目的で示しています。

小型株の中でも、特に企業規模が小さいマイクロキャップ(超小型株)は過小評価されている可能性があります。マイクロキャップの運用者によると、大型株投資家が通常注目する「時価総額基準」を若干下回っているため、こうした銘柄は見落とされがちです。マイクロキャップ市場は、投資家がより大型で流動性の高い銘柄にシフトしているため人気を失っており、近年では精査の効率が低下している数少ない資産クラスの1つです。現在は、マイクロキャップ分野で過小評価されている機会を見つけることで、アルファを生み出すのに理想的な市場環境だと考えます。

経済情勢と成長見通し

小型株に対する楽観的な見方には要因があります。小型グロース株の運用者は、小型株はここ数年アンダーパフォームしていましたが、今後は利益の伸びが大型株を上回ると予想しています。さらに、過去2年間、小型株の利益と売上高の伸びはS&P500指数を下回っていましたが、今後は小型株全体の利益成長が加速すると見られています。また、相対的なバリュエーションも数年ぶりの低水準に近づいています。小型バリュー株の運用者は、2025年の小型株のパフォーマンスを確信する理由として、経済成長の加速、脱グローバル化、中小企業への信頼の高まり、雇用の増加などを挙げています。小型バリュー株は全体的に短期サイクルが多く、経済成長の加速は小型バリュー株にとって好ましいファンダメンタルズを示しています。また、歴史的に見て、小型バリュー株は中長期の保有期間のほとんどすべてでアウトパフォームしてきました。

図表2
小型株と大型株の利益と売上高の成長見通し

小型株と大型株の利益と売上高の成長見通し

出所:Furey Research PartnersおよびFactSetのデータに基づき、ウエリントン・マネージメント作成。2024年12月31日現時点。ラッセル2000指数は米国小型株市場、S&P 500指数は米国大型株市場の指標です。歴史的な構成銘柄を用いた「資本損失」収益モデルに基づいています。※上記は過去の実績および将来の予測であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。上記はあくまで例示目的で示しています。

セクターの分散化とM&A

運用者は、中小型バリュー株が大型バリュー株に比べて多様なセクター・エクスポージャーを持つことを強調しています。S&P500指数の構成銘柄の40%以上を情報技術(IT)とコミュニケーション・サービスが占める大型株と比較して、中小型バリュー株はより多様なセクター・エクスポージャーがあります。また、経済成長の拡大や人工知能(AI)関連の設備投資の鈍化は、金融株や産業株などの分野でより分散された中小型株に相対的に恩恵をもたらす可能性もあります。

さらに、米国政府の規制当局がより緩和的な姿勢を示しており、市場でのM&Aが今後も加速するとの見方があります。中小型株企業は一般的に買収の標的になりやすいため、M&Aの活発化から相対的に最も恩恵を受けるかもしれません。歴史的に見ても、減税、規制緩和、低金利は、国内市場に重点を置く小型株企業にとって好ましい環境を生み出してきました。

まとめ

運用者は、2025年に小型株の高い成長ポテンシャルを踏まえ、多様なセクターにわたる投資機会が広がると予想しています。過小評価されている状況、市場サイクル、経済情勢、セクターの分散などを考慮すると、アロケーターにとって2025年は魅力的な投資機会が広がる年となるでしょう。

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デビッド・デュバード

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ピーター・カルピ

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