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ナネット・アブホフ・ジェイコブソン
- グローバル・インベストメント兼マルチアセット・ストラテジスト
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下記コメントは作成時点のものであり、将来予告なく変更される場合があります。
(2022年3月4日時点)
私は今年初めに、市場の流動性が細り、実質金利がさらに上昇し、インフレ圧力が一段と強まりかつ持続的なものとなり、グロースからバリューへのローテーションが継続するという一種の「レジーム(体制)転換」が起きると展望しました。ただし、ロシアのウクライナ侵攻とその経済・市場への影響は予期せぬ事態でした。
ウクライナ情勢は、紛争の進展から西側諸国による対ロシア追加経済・金融制裁に至るまで、流動的で刻々と変化しており、不確実性が多く存在しています。それらのリスクをすべて理解することは難しいですが、私たちは今後数週間、以下の5つのポイントに留意しています
1)地政学
ベストシナリオは、ベラルーシでゼレンスキー大統領とプーチン大統領の停戦交渉が行われ、速やかに和解に至ることですが、ロシアの最優先目的がウクライナの政権交代であることを踏まえると、残念ながらその可能性は低いと言えます。核兵器の脅威とウクライナ国境に集結した追加のロシア軍は、「デスカレーション(戦闘縮小)」よりも「軍事対立のエスカレーション(激化)」を示唆しています。
中国はロシアのウクライナ侵攻をどのように受け止めているのか——。中国は、ロシアとの重要な同盟関係と国家主権のバランスを取ろうとしています。米国は、中国をロシアから「引き離す」ことを期待しているだけでなく、中国が台湾を攻撃した場合には、ロシアへの制裁と同じく悲惨な結果になることを、中国に示しています。いずれにせよ現在の中国とロシアの関係は、投資家にとってマイナスであると考えます。
2)対ロシア制裁
西側諸国の指導者はロシアのあからさまな侵略行為に対して団結し、ロシア企業、プーチン大統領とその側近、個人に対する多くの厳しい経済・金融制裁を科しました。ロシアの銀行やロシア関連の取引を制限し、ロシア中央銀行の外貨準備は凍結されました。これらの措置は、ロシアによる旧ソ連のジョージア(グルジア)侵攻(2008年)やウクライナ領クリミア半島侵攻(2014年)時よりもはるかに厳しく重い決断でした。対ロシア制裁は、プーチン政権の権力基盤の弱体化とロシア経済の中性化を狙うものです。 これまでのところ西側諸国の指導者は、欧米の消費者への負担をできるだけ抑えつつ、ロシア経済に打撃を与えることに重点を置き、ロシアからの石油・天然ガス輸出規制については排除してきました。
下記はウクライナ紛争そのものよりも、世界に波及効果をもたらし長引かせる要因となり得る留意点です。
図表1
欧州は石油・天然ガスをロシアに大きく依存
欧州の石油・天然ガスの域外輸入比率
出所:ユーロスタット、Standard International Energy Product Classification(SIECs)に基づきウエリントン・マネージメント作成。2020年12月末時点。※上記は過去の実績であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。
3)インフレ
様々な制裁措置やそれに対するロシアの反応を受けて、世界のサプライチェーンがどの程度混乱し、コモディティの供給不足が深刻化するかは不透明ではあるものの、これらの事態が改善する可能性は低いとみられます。したがって、少なくとも今後数カ月間はインフレ率の上昇をベースシナリオとして想定する必要があるでしょう。
2022年1月の米国消費者物価指数(CPI)は7.5%、米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米国の個人消費支出(PCE)物価指数は前年比6.1%上昇しました。最近の市場コンセンサスは、インフレ率が2022年後半に低下すると予想しています。ウエリントンのグローバル・マクロチームでは、今回の石油・ガス価格の上昇が世界のインフレ率を1.5ポイント押し上げ、世界の成長率を0.75ポイント程度低下させる可能性があると予測しています。
4)中央銀行
不確実性が高まったことにより、世界の主要中央銀行は今後数カ月間、インフレ抑制に向けた対策を強化するでしょう。現時点では、FRBが3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通りで0.5%の利上げに踏み切る可能性は低いとみられ、その後も今年の段階的な利上げは不透明です。また、欧州中央銀行(ECB)は金融引き締めに前向きなタカ派色が弱まる可能性があります。
特にFRBは、景気後退を招くことなく、いかにインフレを抑制するかという、以前にも増して複雑な課題に直面しています。この微妙なバランスを取るために、FRBはタカ派の姿勢を弱める必要があるかもしれません。これは市場にとってわずかなプラス材料になる可能性があります。一方、FRBはインフレ期待がアンカーされていない状態にならないよう監視する必要があり、仮にそうなった場合はより積極的な行動を取らざるを得ないでしょう。
5)財政政策
ウクライナ紛争は、欧州の財政政策をある程度促すきっかけになるかもしれません。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気後退から回復し始めたばかりの脆弱な経済にとって、石油・ガス価格の上昇はタイミング悪く欧米の消費者を直撃することになります。米国では、ウクライナ危機がバイデン大統領の「ビルド・バック・ベター(よりよき再建)法案」に、新たな勢いを与える可能性があります。
投資へのインプリケーション
(2022年3月2日時点、日本語抄訳)
コモディティ在庫は数十年ぶりに最低水準にある中、ロシアのウクライナ侵攻の影響によるボラティリティの上昇について、グローバル産業アナリストおよびコモディティ・チームに聞きました。
現在の状況は、欧州の再生可能エネルギー部門に対する長期にわたる成長見通しに追い風になっています。その理由として、グローバル産業アナリストは次の2点を挙げています。
1) 欧州が風力や太陽光による発電を増やすことができれば、ロシアからの天然ガス輸入への依存度が低下する。
2) 欧州で再生可能エネルギーの発電所を新設するコストは、発電にかかる費用を下回る。例えば、発電所新設には平均約40ユーロ/Mwh。それに対して発電費用(国よって異なる)は、平均約150~200ユーロ/Mwh。
ライス元国務長官など多くの政治家や評論家が論じてきたように、ロシアのウクライナ侵攻の脅威は、欧州のガス価格と結びついています。ロシアは、欧州における天然ガスの約35%を供給しており、過去最低水準にある在庫の減少が、天然ガス価格の高騰につながっています。さらに、ロシアからの天然ガス供給量が増えなければ、次の冬は非常に厳しい状況になり、欧州のエネルギー危機は回避できない可能性が指摘されています。これこそがなぜ今プーチン政権が地政学的に緩衝地帯の強化に乗り出し、武力行使したのかという理由の一つとみられます。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来、生産とサプライチェーンの混乱が続いています。 エネルギー関連企業の投資規律と投資不足が供給を抑制しています。加えて、世界的に脱炭素が進む中、発電費用が増加することで新規プロジェクトを抑制させ、需給の不均衡につながる可能性が高まっています。
こうしたダイナミクスを背景に、ウエリントンのコモディティ・チームでは、2022年のコモディティ市場に対して強気の見通しを示しています。さらに、予想以上にインフレ圧力が持続し、投資環境の変化を引き起こす可能性があるという見方を持っています。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、コモディティ在庫の減少による広範、かつ深刻な影響の波及が懸念されます。 コモディティ供給の制約は、中央銀行の政策から脱炭素化、グローバル化、大国間競争の行方に至るまで、あらゆる方向性を左右するでしょう。 コモディティ在庫は2020年春以来ほぼ記録的なペースで減少し、現在、1990年以来の最低水準にあります。
図表1
コモディティ在庫の大幅な減少
コモディティ在庫の推移(前年同月比、%)
期間:1996年4月~2021年12月。出所:IEA、ブルームバーグ、LME、USDAのデータに基づきウエリントン・マネージメント作成。2021年12月末時点。※上記は過去の実績であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。
コモディティの需要の不均衡は予見可能でした。 例えば、鉱業セクターは2015年以降、成長が鈍化しています。世界の金属需要は、人口増加、経済成長、都市化、脱炭素化を背景に拡大傾向にあるのに対して、供給が追い付いていないうえ、この10年間は拡大が見込めません。
金属取引大手のトラフィグラ・グループは、アルミニウムについて、「供給不足は今や解決不可能なスピードで進行しており、2024年初頭までに在庫を使い果たすだろう」と警戒を示しています。アルミニウム価格は2021年の新型コロナウイルス禍初期以来2倍以上上昇しており、13年ぶりの高値近くにあります。
アルミニウムの需要は、今後も拡大の一途をたどると予想されます。例えば、ドイツの新連立政権が設定した脱炭素目標は、ドイツの電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を現在の45%から2030年までに80%に増やす方針を打ち出しています。 太陽光発電パネルの設備には大量のアルミ素材が必要となります。
ロシアのウクライナ侵攻はコモディティの需給の逼迫と不確実性を浮き彫りにし、こうした状況がボラティリティの上昇につながると予想されます。さらに、新型コロナウイルス禍から経済が回復する中で、脱炭素の動きは需給をさらに逼迫させ、インフレ圧力が一段と強まる可能性があります。
一方、このような投資環境下では、コモディティ価格の上昇が個別の企業、市場、国に与える影響を調査・分析し見極めるアクティブ運用の手腕を発揮できる好機でもあると考えます。
図表2
金属の供給は世界のGDP成長率のペースに追い付いていない
大型グローバル鉱業企業の生産量(1000トン)と世界の実質GDPの比較(2010年を100として指数化)
2021年以降は予測値。出所:ブルームバーグのデータに基づきウエリントン・マネージメント作成。※上記は過去の実績および将来の予測であり、将来の運用成果・市場環境等を示唆・保証するものではありません。
(2022年3月1日時点)
以下は、ロシアによるウクライナ侵攻の影響について、私が米国、英国、欧州の軍当局、情報部、外交部の高官らと会談した際の見解の一部です。
(2022年2月25日時点)
当面の状況
ロシアによるウクライナ侵攻は、特に欧州経済に大きな悪影響を及ぼし、世界経済と中央銀行はインフレ率の上昇と経済成長率の低下という二重苦に直面する可能性があります。これまでのガス・原油価格の上昇は、インフレ率を1%~1.5%押し上げ、経済成長率を0.75%低下させる可能性があります。ロシアへの経済制裁の段階的な強化は、欧州経済にさらなる打撃を与え、消費者と企業の信頼感は戦争への不安で低下すると予想されます。
主要中央銀行の対応
欧州中央銀行(ECB):差し迫った利上げ圧力がないため、ECBが金利についての立場を明確にする緊急性はありません。無制限の量的緩和策(QE)を行っている現段階では、ECBの居心地はさらに悪くなると考えています。そのため、ECBはQEを何らかの形で再評価し、正常化に向けた動きを取れるような対策を講じる可能性があります。流動的ですが、現時点では2022年6月を再評価のタイミングとする可能性が高いとみられます。
イングランド銀行(BOE):利上げサイクルに入っている中央銀行ほど、ロシアによるウクライナ侵攻の影響がECBに比べて大きいとみられます。特にイングランド銀行はインフレ率がすでに高く、さらに上昇する可能性が高いため、政策のバランスを取るのが厳しい状況です。さらなる利上げが予想されますが、利上げペースは現在の市場の想定よりも慎重になる可能性があるでしょう。
より大局的な観点から
過去15年間と比べて、中央銀行と経済成長の関係は変化しています。経済成長に対するネガティブなショックやボラティリティの急上昇は、インフレリスクがほとんどみられない中では中央銀行が流動性を増やす理由となりました。今回はインフレ率がすでに高いため、この外的ショックが中期的にインフレになるのかデフレになるのかという議論があります。もしインフレ率がさらに上昇するようなことがあれば、中央銀行は経済成長率が低下する中で利上げを続けなければならないでしょう。しかし、インフレと景気後退を比較した場合、中央銀行は景気後退をより警戒しているとみられます。従って、中央銀行は今のところ引き締めモードを維持しているものの、インフレ率が上昇しても、今回のショックの前に予想されていたほど積極的な引き締めは行わないでしょう。重要なのは、この数十年間のように、中央銀行の政策がもはやリスク資産の下支えになることはなく、ボラティリティの増幅要因になる可能性があるということです。
欧州への影響
私は長年にわたり、ユーロ圏が抱える構造問題に悲観的な見方をしてきました。それは単一通貨ユーロの制度に欠陥があったにもかかわらず、改革しようとしなかったためです。経済成長が鈍化するたびに欠陥が露呈する危険性がありましたが、ECBによるQEが拡大される一方でした。ロシアによるウクライナ侵攻を背景に、安全保障の欠如(米国依存)、EU域外との国境管理の弱さ(移民の流入)、エネルギーの域外依存度(特にロシアの天然ガス)など、ユーロの制度の脆弱さが再び浮き彫りになるリスクがあります。
ウクライナからの難民の波が、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、あるいはユーロ圏諸国に押し寄せる可能性が高まっています。欧州諸国は過去にも難民問題で負担を強いられ、ばらばらな対応を示してきました。移民問題は、欧州地域の政治にマイナスの影響を与える可能性があります。例えば今年4月に行われるフランスの選挙で、移民問題が論点になることも予想されます。
一方、この非常事態をきっかけに、EUとユーロ圏が統合を深め、存在意義を明確に示せる可能性がわずかながら残されています。また、中期的なシナリオとしては、再生可能エネルギーへの設備投資が加速すれば、ユーロ圏だけでなくEUのロシア依存からの脱却が進む可能性があります。しかし、それは再軍備から補助金まであらゆる財政支出の増加につながりかねません。
単一通貨ユーロの構造的な見通しについては、この一年間でより強気に傾いています。ドイツの姿勢が変わり、インフレを容認し、地域全体で負担を分担することに前向きになってきているからです。その結果、ユーロ圏は、より持続可能な単一通貨に向けて進んでいる可能性が高まっています。
過去10年間、ユーロ圏の制度は機能せず、緊縮財政がECBの膨大な流動性供給によって相殺されてきました。これはマイナス金利、低利回り、スプレッドの縮小を意味しました。しかし、ウクライナ情勢の緊迫を背景に、「統合」と「分断」のどちらが優位なのか、明確になるかもしれません。統合は財政支出を増やし、インフレを促し、より多くの負担を域内で分担することになります。
欧州周辺国のスプレッド(対ドイツ金利)への影響は明らかではないものの、ドイツ金利は上昇するでしょう。これらの中期的な影響が顕著になるまで、当面はボラティリティが高まるため、ユーロ圏の脆弱さを注視する必要があると考えます。
冷戦か武力行使か
ロシアと北大西洋条約機構(NATO)の紛争リスクが高まっていますが、現状、武力行使ではなく、新しい形の冷戦の可能性が高いと考察されます。マクロ経済の観点から、このような新しい冷戦は各国のサプライチェーンやエネルギー源の自給自足を促し、脱グローバル化を加速させ、さらなる財政支出の拡大につながると考えられます。
また、今後インフレは、グローバルではなく国内の要因で決定されるようになると予想されます。ウクライナ情勢の緊迫はグローバルではなく国内の需給ギャップへのシフトを加速させるとみられます。さらに、中央銀行がインフレ目標を維持しつつも、インフレ率のより大きな乖離を許容する可能性が高いため、国ごとの差別化が再び重要になるでしょう。今後、市場のボラティリティは上昇し、不安定さが増し、リスクプレミアムとして市場に反映されるとみられます。
(2022年2月25日時点)
ロシアのプーチン大統領によるウクライナへの軍事侵攻は、ゼレンスキー政権の転覆と親ロシア派政権の樹立が狙いとみられます。これは親欧米派のゼレンスキー大統領が退陣し、ロシアがウクライナ東部を占領するまで軍事的圧力を続けることを示しています。仮にロシアがウクライナを自国勢力圏にとどめることができたとしても、抵抗は根強く残ると予想されます。
欧米諸国はロシアへの経済・金融制裁の第1弾として厳しい措置を打ち出し、その後段階的に強めていくことが想定されます。追加制裁は西側にも経済的な影響を及ぼす可能性があります。しかし、西側諸国はこれまで以上に制裁に強い意志を示しています。
1. 米国の主な対ロシア制裁
英国と米国は現時点ですでにロシアへの追加制裁を発表しており、欧州連合(EU)やその他の国も追随すると予想されます。
2. ロシアがウクライナの首都キエフやドニエプル川以東の都市を制圧した場合に予想される追加制裁
3. 親ロシア派政権が発足し、ウクライナの抵抗が続いた場合に予想される追加制裁
ニック・サムイルハン
マルチアセット・ストラテジスト(シンガポール)
アダム・バーガー
マルチアセット・ストラテジスト(ボストン)
(2022年2月25日時点)
ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の安全保障、政治・経済の国際秩序の前提を根本から覆す一大転機と言えるでしょう。
ロシア軍が現在も攻撃を続けているため、市場への影響は当面複雑で予想しにくい状況にあります。ウクライナ情勢はこの数日間で予想以上にエスカレートしましたが、危機の兆候は以前からみられたため、市場はすでにその一部を織り込んでいます。
現在、注目すべきポイントは次のとおりです。
世界経済の成長率、インフレ率、金利の見通しに与える影響が、市場の先行きの鍵となるでしょう。すべて関連性があり、ウクライナ情勢が緊迫する以前は市場の焦点になっていました。市場では力強い経済成長とインフレ率の上昇を背景に一連の利上げを織り込み、景気後退を招くことなくインフレ抑制につながる金融政策の正常化というソフトランディングが期待されていました。しかし、誤った政策が現実のものとなり、対立で先行き見通しが複雑化し、リスクを増大させました。エネルギー価格の上昇に加えて、対ロシア制裁の対象となる主要なコモディティ価格の上昇(特にそれらが武器の材料に使用された場合)は、インフレ見通しをさらに悪化させるでしょう。また、エネルギー価格の上昇はインフレ圧力と相まって、実質消費支出を押し下げ経済成長率の下押しリスクとなり得ます。つまり、物価上昇と景気鈍化が併存する難局に直面する可能性があり、金利見通しを難しくさせています。また、欧米のエネルギー自給に向けた財政支出の増加など、経済への二次的負担の影響も懸念され、先行き見通しにさらに影を落としています。
このような投資環境下、今後1年から1年半の時間軸の投資においては、株式をオーバーウエイトし債券(ソブリン)をアンダーウエイトするややリスク選好のスタンスが適切であると考えます。ただし、今後経済成長見通しが一変した場合は、投資スタンスを見直す必要があります。ロシアによるウクライナ侵攻が経済に及ぼす波及効果として、1970年代のような物価上昇と景気停滞が併存する「スタグフレーション」が起きない限り、株式市場は短期的な景気後退リスクをすでに織り込んでいる可能性があります。その場合は長期投資においては、株式のポジションを維持し、リスク選好姿勢を慎重に強めていくことも考えられます。ただし、時間軸を見極めることが重要です。ウクライナ情勢の緊迫から当面は売り優勢の展開が続くとみられます。
投資において特に留意すべきシナリオは、以下の通りです。
ナネット・アブホフ・ジェイコブソン
トーマス・ムーチャ
ジョン・バトラー
アダム・バーガー