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トム・レヴェリング
- グローバル産業アナリスト
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2022年の市場環境は、目覚ましいリターンを記録した昨年とは異なり、景気回復ペースの鈍化、高インフレ、終息の目途が立たない新型コロナウイルス禍、地政学的危機などにより困難なものになる可能性が高いでしょう。この不確実性に加え、主要中央銀行が金利正常化という危険に満ちた道を歩き始めた今、以前ほど支援的でない金融政策にも市場は適応する必要があります。
今後の道のりが波乱に満ちたものであるリスクを考慮し、投資家はポートフォリオのディフェンシブ性を高めることを検討するでしょう。多くの場合、それは少数の高成長テクノロジー株への過度な依存からの分散化を意味するかもしれません。何が効果的なリスク低減であるかはポートフォリオごとに異なりますが、上場インフラ株への選別的な投資はポートフォリオのディフェンシブ性を高める有効な選択肢の一つであると考えます。
グローバル上場インフラ株ユニバースには、私たちがエンデュアリング・アセットと呼ぶ魅力的な銘柄が含まれています。エンデュアリング・アセットとは、現代経済が機能するのに不可欠な耐用年数の長い実物資産を裏付けに、長期に亘り安定的なインカムを生み出す能力を持つことで、「エンデュアリング」-永続的な成長の態勢を整えた企業のことです。エンデュアリング・アセットへの投資で、テクノロジー成長株に過度に偏ったポートフォリオの分散化を図ることができます。エンデュアリング・アセットの多くは何十年も存続し、高い競争力と価格決定力を持ち、多くの場合、規制や契約によって、少なくとも部分的にインフレに連動した収益が保証されています。こうしたディフェンシブな特徴を持つ一方で、高い頻度で、エネルギー移行やデータ革命のような構造的なトレンドと関連した事業を運営し、長期的な成長展望も描くことができます。過去の実績が将来のパフォーマンスを示唆するとは限りませんが、エンデュアリング・アセットが過去のボラティリティ上昇局面で、ある程度の抵抗力を示したことは確かです。エンデュアリング・アセットの現在のバリュエーションは市場全体との比較において割安で、今後ボラティリティが上昇した場合の下値リスクは相対的に低いと考えられます。
私たちは、経験豊富なアクティブ運用者であれば、金利上昇局面であることに留意し、上場インフラ株の中でも過剰な負債を抱える企業や配当支払いを過度に重視する企業を避けることで、ポートフォリオの下値リスクの低減を図れると考えています。また、上場インフラ株にはボラティリティ特性に影響を与え得る隠れたリスクがあることも理解しておく必要があります。例えば、上場インフラ株の中には、特定のコモディティに実質的に連動している銘柄や景気敏感度の高い銘柄が存在します。
最後に指摘したいのは、加速化する低炭素社会への移行との関わりです。ある銘柄のディフェンシブ度合いを判断するには、その企業が2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするネットゼロ社会に備える能力と意欲を正確に把握する必要があります。以前発表したレポートで論じたように、エンデュアリング・アセットの多くはエネルギー移行を活用できる有利な立場にあります。表面上ネットゼロ社会への備えで遅れを取っているように見える企業も、中期的には市場の想定よりもはるかに速い進歩を遂げるかもしれません。この点でも、アクティブ運用者は、企業やセクターのファンダメンタルズを十分に調査することで適切な評価と見通しにたどり着くことができるでしょう。そして、その判断は取締役会や経営陣とのエンゲージメントを組み合わせることで強化することができます。
上場インフラ株への投資でテクノロジー成長株に偏ったポートフォリオの分散化を図ることができます。なかでも、エンデュアリング・アセットは安定性が高く、経常的なインカムを生み出す能力を持ち、長期的成長見通しが高い銘柄です。従って、変動が激しい市場環境でも下値抵抗力を発揮する可能性があります。しかしながら、上場インフラ株の中でも脆弱な銘柄への投資を最小限にする必要はあります。上記の点に注意するという条件で、エンデュアリング・アセットへの的を絞った投資はポートフォリオのディフェンシブ性を高める際の有効な選択肢の一つであると考えます。
トム・レヴェリング
ケン・バウムガートナー