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岩井 克浩
- 株式ポートフォリオ・マネジャー
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3回にわたる日本の株主アクティビズムのシリーズの第一稿では、日本におけるアクティビズムの歩みと進化について振り返りました。本稿では、そのような背景における、日本株式運用チームのエンゲージメントおよび企業価値向上に対するアプローチを最近の事例を踏まえてご紹介します。
図表1は、日本企業を改革への適応度合によって、3つのグループ(グループA:ベストプラクティス、グループB:改善途上、グループC:未覚醒)に分類した概念図です。私たちのエンゲージメントは、株主還元、資本市場とのコミュニーケーション、事業ポートフォリオ管理など、企業価値向上に寄与する項目を包括的に含んでいます。改善点が大きい企業(グループBおよびC)に対しては、全社的な運用リソースの活用による協働エンゲージメントを実施することが多いです。近年では一部のグループC企業に対しては、議決権行使やエンゲージメントレターの送付など、いわゆるエンゲージメントの“エスカレーション“にも努めてきました。私たちの長年の経験から、エンゲージメント指標の改善が顕著な場合はバリュエーションや企業価値の再評価につながる傾向にあると考えます。
1該当企業割合は社内リサーチ対象銘柄総数に占める割合 | 記載はあくまでも例示であり、実際の保有銘柄を代表するものではないことがあります。いずれかの顧客口座において、実際に例示(又は例示と同様)の銘柄に投資を行う又は行ったこと、その投資が過去に利益を生じた又は将来に利益となり得ることを示唆するものではありません。実際の保有銘柄は顧客口座ごとに異なり、特定の顧客口座が例示の銘柄を保有することを保証するものではありません。
私たちが考えるエンゲージメントの成功の秘訣は、グローバルおよび各地域の視点や専門性のバランスによって支えられています。以下では、エンゲージメントの成功につながる強固な基盤づくりに役立っている、弊社を差別化する3つの重要な要素をまとめました(図表2)。
出所:ウエリントン・マネージメント(2023年時点)。
私たちは、日本の株主アクティビズムの高まりを背景とした、エンゲージメントによる企業価値の向上には引き続き大きな投資機会があると考えます。政策の後押しも続いていることから、持続的な投資テーマとして引き続き日本株式市場の成長を支えていくことが期待されます。
岩井 克浩