-
アンドリュー・ハイスケル
- 株式ストラテジスト
Skip to main content
- 会社情報
- INSIGHTS コンテンツ
- 運用ソリューション
※下記コメントは2024年12月(米国時間)時点のものであり、将来予告なく変更される場合があります。
2024年を通じて世界の経済成長は非常に安定しており、ここ数ヵ月で成長が加速し始めています。世界の工業セクターは、需要の弱さと世界的な貿易の停滞を背景に不況に陥っていますが、底堅い内需とサービス業の活動が補っています。2025年を目前に、世界経済は重要な転換点に差し掛かっています。次期トランプ政権や中国の刺激策の影響はまだ不透明でリスクがありますが、米国を筆頭に、成長は加速する見込みです。とはいえ、株式投資家にとって環境の変化を見極めることが有益でしょう。
世界的な金融危機が過ぎ去って以降、インフレは低水準を推移してきました。そのため、各国中央銀行は経済成長を支えるために必要であれば自由に、同調的に金融政策を調整することができました。このような環境では、株式市場は連動する傾向にあり、分散投資による付加価値はほとんどありませんでした。相関性が高い一方で名目成長率と資本コストが低い中、株式市場で平均を超える成果を上げるには、成長が著しい企業やビジネスモデルを特定することが重要でした。
しかし、パンデミック後にインフレが上昇し始めると、金融政策は大きく変わりました。金利はマイナスやゼロから大幅に引き上げられ、量的緩和は量的引き締めへとシフトしました。政策当局者は今や、経済成長とインフレの継続的なトレードオフに対応する必要があり、金融政策はより引き締め的にならざるを得ないことを意味します。
さらに、世界経済は複数の変化に直面しています。地政学的緊張と貿易摩擦の激化に伴いグローバル化は鈍化または逆戻りしており、政策当局は国内重視の姿勢と介入主義を強めています。また、政府は金融主導の体制によって生じた構造的不均衡の一部を解消しようとする中、財政政策の役割はますます重要になっています。
以下の背景は世界の株式投資家に何を意味し得るか?
背景 | 意味合い |
---|---|
インフレ率と金利は構造的に高水準にとどまり、さらに不安定化する可能性が高い | 資本コストがより重要になる |
政治介入は増え続け、グローバル市場間のばらつきは広がり続ける | 分散がより重要になる |
経済成長の範囲拡大によって、セクター・市場全体で基礎的なパフォーマンスが広がる見通し。成長は常に重要だが、期待のスタート地点も重要である | バリュエーションの明確化がより重要になる |
こうした変化を踏まえ、2025年には、以下の5つのテーマが世界の株式市場全体に大きな機会をもたらすと考えられます。
図表1
1) 株式市場のパフォーマンスの範囲拡大は今後も続くのか?
人工知能(AI)の発展に牽引された力強い増益により、「マグニフィセント・セブン(米国主要テクノロジー企業7銘柄)」の株価は著しく上昇し、他の銘柄との差が広がりました。2024年後半になると、増益銘柄は超大型株以外にも広がり始めました。経済成長の拡大、インフレ低下、短期金利の低下といった要因が重なり、幅広いセクターに恩恵をもたらしています。さらに、2025年には、超大型株の収益は極端な急成長と高利益を記録した過去2年と比べて落ち着く見通しである一方、市場のその他の銘柄は過去2年の収益悪化から回復する見通しです。
こうした成長の範囲拡大は、ばらつきの広がりや相関の低下、ボラティリティの上昇と相まって、機動的な投資家に銘柄選択の機会を生み出すでしょう。
図表2
2) 分散に再び妙味があるのか?
世界的な金融危機の後、世界の各中央銀行は、米連邦準備制度理事会(FRB)主導の利下げや利上げに追随する傾向にありました。これにより、景気サイクルが同調し、各国の株式市場間の相関が高まり、地域分散のメリットが減少しました。
しかし、今後はインフレ率が構造的に上昇するうえ、国ごとに大きくばらつくことが予想されます。その結果、各中央銀行が自国の固有の問題に対処しようと金利を調整し、景気サイクルは同調しなくなるでしょう。日本と欧州の金融政策サイクルの乖離はその好例です。日本と欧州の経済は構造的に似ているものの、日本は利上げサイクルに突入したばかりであるのに対し、欧州は緩和サイクルの半ばです。
この傾向はすでに株式市場にも表れており、各国間の相関は20年来の低水準です1。こうした環境ではグローバル分散がより大きな価値をもたらし、地域間のばらつきが一段と大きくなれば、2期目のトランプ政権の政策案が具体化する2025年には特に、アクティブ投資家に投資機会が生じると考えられます。
3) 地域分散にとどまらず分散を進めるべきか?
金融政策の乖離が広がり、政策当局の国内重視姿勢と介入主義が強まると、地域間の乖離は新たな形に変わるでしょう。しかし、投資家は国別の要因以外にも分散対象を探す必要があります。20年前とは異なり、株式が上場している場所は今やパフォーマンスの主な決定要因ではありません。現在、株式のパフォーマンスはは地域よりも帰属するセクターやテーマとの相関性が高くなっています。その理由は2つあります。第一に、大型株はより国際的な影響を受けやすくなっています。第二に、投資家が経済の長期的・構造的変化に合わせてポートフォリオを調整する中、テーマ別投資の人気が高まっています。
こうした環境では、地域分散は依然として重要ですが、国際安全保障やオートメーション化、エネルギー転換、医療革新など、構造変化の恩恵を受けるとみられる分野に的を絞ったテーマ別戦略など、経済にまたがるテーマに資金を広く分散する必要もあります。AIは2025年も引き続き重要なテーマとなるでしょうが、トランプ政権の政策が注目の的となり、市場に大きなばらつきと不透明感をもたらすでしょう。これには、関税、移民規制の強化、インフレ削減法の一部または全面廃止などの逆風と規制緩和、減税、歳出削減、M&Aの増加などの追い風をどちらも含み、株式市場への影響は広範囲に及ぶ可能性があります。
図表3
4) 欧州は株式投資家にとって魅力的な市場になり得るのか?
現在の欧州は、2000年と2008年に見られたような重大なレジームシフトの局面にあり、これが欧州株式をアクティブ投資家にとって特に魅力的な市場にしていると考えられます。このシフトを牽引している主な要因は以下の3つです:
これらの要因は、欧州の金融市場と株式に大きな影響を及ぼすと考えられます。私たちは、インフレ率と金利が構造的に上昇し、政治介入が増加し、バリュエーションが再び重視され、海外展開の相対的な魅力度が低下すると予想しています。
このレジームシフトの恩恵を受けるのは、主に欧州の銀行や電気通信、防衛などのセクターのバリュー株や小型株だと考えます。反対に、グローバル化と低金利の恩恵を受けてきたセクターは苦戦を強いられるでしょう。
5) 2025年に中小企業の価値は高まるのか?
歴史的に中小企業は大企業よりも急速に成長してきたため、小型株は長期的に大型株をアウトパフォームしてきました。過去のパターンが続く保証はないものの、リードする立場が小型株と大型株で入れ替わる傾向にあり、そのサイクルは基本的に10~15年続きます。小型株は13年以上にわたってアンダーパフォームしてきたため、そのバリュエーションは大型株に比べて歴史的に大幅に割安です。
こうしたアンダーパフォーマンスの要因として、一つには小型株が経済情勢と金利上昇により敏感であるため、過去2年間で収益が大きく打撃を受けてきました。私たちは、経済成長の範囲拡大、インフレ率の低下および金利の低下によって、過去2年間に小型株が直面していた収益の逆風は後退し始めるとみています。売上と利益成長率が正常化すれば、特に欧米全体で、小型株はアクティブ運用マネジャーにとって魅力的な資産クラスとなるでしょう。次期トランプ政権が規制緩和とM&Aの増加につながるかも注視しています。これらの制作は、小型株市場の特定の分野に恩恵をもたらす可能性があります。さらに、小型株は一般に大型株よりも市場の効率性が低く、過小評価された銘柄を見つける機会を生み出しています。
2025年に向けて、世界の株式市場は大きく変化する構えにあります。増益の範囲拡大、グローバル分散における新たな価値、中小企業の潜在力を踏まえると、魅力的な投資機会が期待されます。セクターや地域全体で過小評価された機会を特定し、より戦略的な分散アプローチを取ることが、変化の激しい2025年の投資環境を乗り切るカギとなるでしょう。
1Bloomberg Finance LLP、2024年6月
アンドリュー・ハイスケル
ニコラス・ワイレンゼック
利用規約
当ウェブサイトは、ウエリントン・マネージメント・ジャパン・ピーティーイー・リミテッド(以下、「当社」という。)が、管理・運営しています。当ウェブサイトをご利用される前に利用規約を必ずご確認いただきますようお願い申し上げます。利用規約をご確認いただいた後、「同意」ボタンをクリックすると、利用規約にご同意いただいたものとみなされ、当ウェブサイトを閲覧できます。なお、この利用規約は、事前の予告なしに変更されることがありますので、ご利用の都度、御確認いただきますようお願い申し上げます。
当ウェブサイトの情報
当ウェブサイトは、日本の機関投資家の方々への情報提供を目的としたものであって、日本国外の方のご利用はお断りします。当ウェブサイトに掲載されている情報は、当社ならびにその関連会社(以下、「ウエリントン・マネージメント」という。)が指定する機関投資家のお客様およびそのコンサルタントによる社内利用、もしくは当社が承認するその他の利用を目的として提供するものです。
当ウェブサイトに掲載されている見解は、その執筆者が入手可能な情報に基づいて記述したものであり、予告なく変更することがあります。個々のポートフォリオ運用チームは、異なる見解を持ち、顧客ごとに異なる投資意思決定を行うことがあります。
当ウェブサイトに掲載されている情報、資料、商品およびサービスは、作成時点のものであり、予告なく変更することがあります。すべての商品およびサービスがすべての地域で提供されるものではありません。お客様が特定の商品あるいはサービスを受けられるかどうかは、当社が判断し承認します。当社は、いかなる情報、資料、商品およびサービスの利用についても、当該情報、資料、商品およびサービスの提供が法で禁じられているあらゆる法域において、一切の勧誘を行うものではありません。
当ウェブサイトあるいは当ウェブサイトへのリンクを含むあらゆる通信手段に掲載されている情報も、投資助言、あるいは株式その他証券の売却の提案あるいは購入の勧誘を目的とするものではありません。また、配布あるいは利用が法規則に反するあらゆる法域あるいは国、あるいは当社またはその関連会社が登記を必要とする法域あるいは国で、いかなる個人あるいは法人への配布あるいは個人あるいは法人による利用を目的とするものではありません。
著作権
当ウェブサイトに含まれるページ、ページを表示するスクリーン、および情報、資料、その他の内容についての著作権は別段の記載がない限りウエリントン・マネージメントに帰属し、国内外の著作権法および国際条約によって保護されています。当ウェブサイトに掲載されている情報、資料、その他の内容を当社の書面による同意なく、複写、表示、配布、ダウンロード、許諾、修正、公表、転載、複製、再利用、販売、転送、加工のために利用、その他公用あるいは商業用の目的で利用することはできません。
保証
ウエリントン・マネージメントは、当ウェブサイトに掲載されている情報、資料、商品およびサービスの正確性、適切性、完全性、適時性、あるいは当ウェブサイトの誤りのない使用を保証するものではありません。すべての情報、資料、商品およびサービスは現状のままおよび入手されたままであって、情報、資料、商品およびサービスと関連して、第三者の権利の不侵害、権利、商品性、特定の目的への適合性、およびコンピュータ・ウイルスがないことの保証を含めて、なんらかの明示的あるいは暗黙の保証を与えるものではありません。ここに表明されたいかなる見解も作成者のものであって、入手可能な情報に基づいており、予告なく変更することがあります。個別のポートフォリオ運用チームは異なる考え方で異なるお客様に対して異なる投資判断を行うことがあります。
免責
いかなる場合においても、ウエリントン・マネージメントは、お客様が当ウェブサイトを利用し、あるいは当ウェブサイトに掲載されている情報、資料、商品およびサービスを信用し、あるいは利用もしくは利用できなかったことに関連して、またはなんらかの不履行、過誤、不作為、妨害、欠陥、業務あるいは転送の遅延、コンピュータ・ウイルスあるいは回線またはシステムの不具合に関連して生じた、直接的あるいは間接的な、偶然、必然的な損害、損失あるいは債務を含めて、いかなる損害、損失あるいは債務についても、当該損害、損失あるいは費用の可能性をウエリントン・マネージメントが知らされていたとしても、責任を負いません。
ハイパーリンク
当ウェブサイトにある他のウェブサイトへのハイパーリンクを利用する場合は、お客様のリスクで行ってください。ウエリントン・マネージメントは当ウェブサイトからリンクされている第三者のウェブサイトについて内容あるいは正確性に責任を負うものではなく、また、第三者のウェブサイトで提供されている商品あるいはサービスを保証するものではありません。お客様はなんらかの個人情報あるいは秘匿情報を提供される前にウェブサイトのプライバシー文言を確認してください。
クッキー(Cookie)について
当ウェブサイトでは、お客様の手を煩わせることなくスムーズに情報を提供したり、アクセス状況を分析しウェブサイトの改善を図るためにクッキーやウェブビーコンを使用しています。
クッキーとは、ウェブサイトにアクセスした際に、サーバーからお客様のブラウザに送信される小さなテキストデータのことで、これによりお客様のブラウジングのスピードを上げることができます。ウェブビーコンとは、ウェブページに埋め込まれた非常に小さな画像等を指しており、お客様の閲覧動向(訪問回数、訪問時間、閲覧ページなど)を把握することが出来ます。
クッキーやウェブビーコンを使用して収集されるデータには、お客様を特定・識別できる個人情報(氏名、電話番号、ご住所など)は含まれていません。収集したデータは、よりよいウェブサイトをご提供するために利用するためのものであり、お客様の個人情報を識別したりするものではありません。
クッキーの受信に不安を感じたり、受信をしたくない場合は、クッキーを無効にすることができます。ただし、クッキーを無効にすると、当ウエブサイトでの動作に影響を及ぼす可能性がありますので、あらかじめご理解ください。
通常のインターネットブラウザでは、自動的にクッキーを受信するよう初期設定されていますので、無効にする場合には、お客様ご自身のブラウザ上での設定変更が必要となります。設定変更につきましては、ご利用いただいているブラウザのヘルプや、
http://www.microsoft.com/info/ja/cookies.htm
https://support.google.com/accounts/answer/61416?hl=ja
https://support.mozilla.org/ja/kb/enable-and-disable-cookies-website-preferences
などでもご確認いただけます。
また、当ウェブサイト内のリンクから第三者サイトに移動した場合に、クッキーが第三者サイトから送信される場合がありますが、それらは当ウェブサイトから送信されるものでないことをご了承ください。こちらにつきましては、該当する第三者のウェブサイトにてご確認ください。
適用法令
当ウェブサイトの利用については日本国法に準拠します。
ウエリントン・マネージメント・ジャパン・ピーティーイー・リミテッド
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第428 号
一般社団法人日本投資顧問業協会
一般社団法人投資信託協会
一般社団法人第二種金融商品取引業協会